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2017年5月5日金曜日

ここに来てなぜか動画を配信してみる

 僕が生まれて初めて手に取ったマンガは、ハードカバーの「アタゴオルは猫の森」である。面白いからぜひ読めと父の強力プッシュで、物心もつかないうちから絵本に混ぜて読み聞かせてもらったのであった。それは間違いではなくて、幼い頃から良質のファンタジーに触れることができたて本当によかったと思う。
 同じシリーズの第2巻「ヒデヨシ印の万華鏡」では、主人公の破天荒な迷惑ネコ「ヒデヨシ」が森中の草花をスピーカーに、雲に自分の姿を映して放送局を開くというステキな話がある。好き勝手なことをわめいたり下手な歌をうたったりするので、森からは苦情が殺到する。見かねたヒデヨシの仲間たちは、どうせなら楽しいものを放送しよう…と劇を上演する。僕はその話が30年来大好きだ。

 今の時代、文章や音楽だけでなくて映像も手軽に配信できるのだから、軽い気持ちで楽器を弾いてその模様を放送してみたい。ただ、弾いたそばから忘れていく僕は、ゲー音部のさば夫さんみたいにすごいレパートリーがあってどんどん曲を弾けるほど上手じゃない。また、中途半端に凝り性な部分があって、楽に作ったものを人前に出せないのである。



 ただ、最近2ヶ月連続でゲー音部の活動に参加させてもらって気づいたことがある。定期的に人前で弾く経験ってすごく「緊張症」には効くんだな、ということだ。おかげで主催させてもらった回には特にあがりすぎてめためたになる曲もなく、たくさんの曲を思い出して弾くことができた。
 子育てと仕事以外の時間はだいたい音楽のことを考えているものだから、ゲー音部への参加についてもバンドの活動をサボっているみたいで気が引けていた。でも、ライブをやるように一所懸命練習するのでなくても、またCDを作るように一所懸命アレンジを練るのでもなく、ただ「楽に弾く」ということが、結局は演奏の幅を広げたり、自信につながったりするのだと今は思っている。

 じゃあ、毎月のようにゲー音部に参加させてもらってじゃんじゃん弾いたらいいじゃないか、ということになるんだけど、そういうわけにはいかないのだ。僕の家では何よりも娘ファーストと固く決まっているもんだから、1ヶ月に1回も土日に休みをもらっていたら確実に暴動が起こる。家で練習しているだけで怒られるんだから。
 
 そんなわけで、「楽に弾く」「人に観てもらう」の両立を考えて作ったのが以下の動画である。


わざわざ大きな画面で観たいという人は以下youtubeのサイトへお願いします。 
https://www.youtube.com/watch?v=GbUXsx7Nk18

 さて、この妙な動画を作った顛末を簡単に紹介したい。

 1 娘が寝静まったら速攻でパソコンを開き、ベースとドラムのトラックを作る。
 2 てまりを連れて自宅の3F(楽器が置いてある部屋)へ。
 3 二人で合わせてバーっと弾きながら映像も撮る。
 4 娘がムクッと起きて僕がいないことに気づき、怒鳴り声が聞こえたらすぐ2Fの寝室へ。寝かしつける。
 以下、3と4の繰り返し
 
 という感じである。
 これがもう、我が娘にはテレパシーでもあるんではないかと思うくらいに、寝ていても僕がいないのを察知する。こういう状況でやっていると、連続で1時間とかはどうやったってリテイクできない。相当うまくいっても3〜40分くらいである。
 そして、当たり前のことだけれど、同時に録音しているもんだから、二人のうちどちらかが間違えたらボツ…
 しかも、僕は録音が始まってだいたい2〜3時間くらいすると調子が乗ってくるけれど、てまりは同じ曲を何度もそんなにやってられるか!もういいよ!というタイプ。
 こんな状況だったらもう、ちゃんとした演奏を聞かせたいとか、そういうのがシステムとして無理。この中で精一杯やるだけ、となる。でも、今ぼくはこれをやるのが上達につながると信じている。だから何度かこの形でやっていこうと思っている。どうかお付き合い下さい…
 
 動画はとにかく弾いているところを通しで撮って、あまりにも急いでいるもんだからロクに三脚の位置も考えないでやったら、顔が映っていて、こりゃまずい…とポポロンとアフロディテを貼った。そして、座ってただ弾いているだけで殺風景なので、海外の動画作りフォーラムを少し回って、著作権フリーのインドっぽい映像を無秩序に入れて作った。昔のプログレのライブビデオの、よく分からないところで意味ありげな(おそらく何の意味もない)映像が差し込まれるのが好きなので、そういう感じにしよう、と。

 で、選曲について。
 なぜこんなMSXでしか出ていないマイナーゲームの、しかも5面をやるのか。それは、いい曲だから。昔から大好きな曲なんです。(せっかくやるのだから、あんまり人が演っていない曲を、と思ったのもある。)
 このゲーム、あんまり操作性や爽快感も無いし、当時友達の家にあってやらせてもらっていて、そんなに素晴らしいゲームとも思えなかった。でも、この曲をはじめものすごく良い曲が多い。世界各地の遺跡を巡って行って、最終ステージがこのインダス文明のモヘンジョ=ダロのステージ。
 しかも、ラスボスを倒して主人公たちがウシャスの秘宝を手に入れると、エンディングではいきなり核爆発が起こって主人公たちも巻き込まれ、古代人が核戦争を起こさないように封印していたことが分かる…というあまりにもひどいストーリー。そして、ゲーム本編で結末に対して「そんなアホな」とつっこんでいるのである。…なんか、たけしの挑戦状のコレを思い出すよね。




 さてさて、この動画の試みは一度で終わったら全然意味がないので、もう次の曲は決めていて、近々収録するつもりです。次はまた、誰にも期待されてない曲になると思います。ヒントは「歩いてると季節が変わるRPG」だよー。(分かるかそんなの)


 web拍手のお返事。(いつも遅くてごめんなさい。)
 「以前 死んでしまうとはなにごとかを購入しました!また欲しいのですが、購入できませんか??(>_<)
(追記)ちょっと前にCDほしいといったものですが、イースIiのオープニングのやつと妖怪道中記のがめちゃききたいです」
 
<まだ覚えていてくださって本当にありがたいです。あの頃、自分たちなりに新しいことをやろうと思っていて、それを手にとってくださっていた方がいたのは本当に嬉しいことです。ですが…本当に申し訳ないのですが、あの頃の曲というのはもうデータも残っていませんで、僕の手元にもCDRしかないのです。それをコピーしようにも、ほぼ楽器初心者がもがいている様子を思い出すと頭が溶けそうになるので、あくまでも「あの時だけのもの」と思っていただきたいのです…。ただ、当時の曲はライブとかで今後もやっていこうと思っているので、そこでいつか聴いていただけたらと…。ホントにすみません。

 「復活?されたのですね!!以前のパラメキア帝国のサイトはブックマークにしており、良くチェックしていました。1st,2ndも購入しました。(もう10年以上も前か・・・)出来れば、1980年初頭ゲームをプレイしている錯覚に陥るような効果音も含めた”メドレー”なんかをやってもらえるとうれしいです。(つーか、またアルバムを即買いします。)
応援しています、頑張ってください。」

<どうもありがとうございます。ベースをやってくれていた人が音信不通で、ドラマーもいなくなってしまったので、堂々と復活とは言えないのですが、細々とでもやって頑張っていこうと思っています。
 効果音はゲームの音楽と一緒になって作品の一部とも言える存在感がありますよね。ただ、ドラクエやマザーなどのCDに入っているゲームをやっている風の「効果音含む実況音声」みたいなのって、自分の意図しないところで効果音が鳴るわけですから、聴く人によっては「ここで聞こえないでほしいな」というのもある気がします。ですから、アレンジに入れるのは難しいですが、「ここぞ!」というところでは入れていこうと思います。怒2のスタート直後の「よし!いくぞ!」とかも、そうですね。
 でも、前にファミコン版北斗の拳の、敵が破裂するときの、なんていうんですか「くもーくもーくもーくもー」みたいな声。あれをボブにギターで再現してもらおうとしたら、全然似てないんですよ。ああいう場合はもう潔くファミコンから録音するしかないかもしれません。

 「以前金沢に住んでいたころに、「しんでしまうとはなにごとか」と「ふっかつのじゅもんがちがいます」の2種類のアルバムの購入をさせていただいた者ですが。。。おかえりなさいませ!コミケには行けませんが通販などできるなら、また購入させていただきたいです。」
 
<以前はコミケにCDを出品すると同時に、バンドのサイトで通販をしていて、メールで住所を送ってもらって、郵便為替と引き換えにCDを送ったり…とかやっていたものでした。また通販の方法とかももう少し考えようと思っています。(もしいま関西にお住まいであれば、ゲーム探偵団に置かせていただいているので、お店でも手に入ると思います。)
 コミケもファミコンの曲とかをやっている人はほとんどいなくなりましたし、社会人になってみるとお盆や年末に時間をあけるのもきつい人が多いのではないかと思いました。せっかく作ったCDを聴いていただけるのはとても嬉しいので、方法を考えないと…。
 

2016年11月22日火曜日

サウンドテスト0008 Fluffing Moogles 編

 11月19日、ゲー音部によるイベント「サウンドテスト0008」で、僕らのバンドFluffing Mooglesは2番目に登場したのでした。
 人前で音楽をやるというのは僕にとってはすごく特別な機会だ。たとえば僕の仕事には1パーセントも関係ないところだし、普段の生活においてさえも、ギターを取り出した瞬間に娘(束縛系:5歳)には非常に嫌がられ、向こうの部屋にいても走って来てギターのペグを回すのである。連鎖を組もうとした瞬間に2連鎖でお邪魔ぷよぷよを落とされるようなやり切れなさだ。その僕がちゃんとしたバンドメンバーを組んでお客さんの前で演奏できるというのだから、この機会を逸するわけにはいかない。
 
 ドラマーをかって出てくれたchihiroさんはとても忙しい人で、深夜になって帰ってきてなかなか子どもと一緒に遊べないと言っていた。この人なら音楽ができる時間の特別さを分かち合えると思った。メンバーとスタジオに練習に入ったのは1回、それ以外は当日の直前に1曲ずつ合わせただけだけど、chihiroさんが曲をちゃんと組み立ててきてくれたので、すごくスムーズに行ったと思う。なにしろ、曲を覚えてきてくれる上に叩き方も固めてきてくれるドラマーって僕は初めてだったもんだから、てまりと二人ですごく嬉しかったのだ。ティナのテーマはchihiroさんの気合いがすごく入っていて、お客さんからも「あの曲のドラムすごく良かったですよね」と言われた。僕に言わないで本人に言って欲しかったのでここに書いておく。それはキメ部分だけでなくて、曲全体へのイメージができていたから、どこをどういうノリでいくべきかというビジョンがあったんだと思う。
  
 僕の中では今回は脇役に徹するというテーマがあって、フロントはてまりに任せていたので、本当はMCもやりたくなかった。そうじゃないと友達のお姉さんに無理やりピアノを弾いてもらって出た高校生の学園祭みたいじゃないか。でも、ぜったい無理と言われたので仕方なくしゃべることにした。小学生のとき高橋名人が好きだった話とか、ピアノをやっていたせいで連射ができて「一郎(てまり弟)の姉ちゃんすげー」って言われた話とかすればいいのに。そうしたら毛利名人の方がイケメンなのに暑苦しい高橋名人が好きとかぶっ壊れてるよねと突っ込んだのに。

 

 僕はエレキギターを弾いているけど、パラメキア帝国ではほとんどバッキング(伴奏)というものをせず、メインメロディを弾いている。だから曲の最中で音量を上げ下げする必要が今までなかった。そして音色に関しても、オーバードライブの音ひとつだけで、クリーンのアルペジオなんかやることは無かったのだ。それが今回は両方やることになって、一番苦労したのが音量についてだった。歌を食うほどにでかい音で弾いていてはいけないし、リードになったらなったでいつも通り大きな音で弾かないといけないし…
 もうこれは別の楽器を弾いているイメージで行こう!と、まず自分の長らくのメイン楽器であったフライングVではなく、「目立たずギターを弾きたい時用」の最近買ったPRSのCustom24というギターで弾くことにした。また、エフェクターはいろいろ迷ったのだが、Marshall直結にした。迷った結果それか…と思うかもしれないけど、正直にやるのが一番だと思う。そして、ソロやリードの時だけアンプのセンドリターンにクリーンブースターを入れて、それを踏むことにした。これが劇的に音量が上がるので、アンプの方を小さくしておいて、ソロでガッと前に出ることができるようになった。これはものすごく便利である。…しかし、エフェクターそのものをふみ慣れていない僕は手で弾く以外にやることができてすごく混乱することになった。
 それに加えて、このPRSのCustom24はピックアップ(ギターのマイク部分)の切り替えがゴリゴリ回す式のスイッチになっており、とっさに変えることができない。しかも右回しでリアに、左回しでフロントになるという混乱を呼ぶシステム。これには閉口した。テキサスでブルースを弾いてるオヤジなら小指でちょいと回せるのかもしれないが、魔導師レベルの力しか持たない僕にはとても無理だった。本番でも回せなくて一曲目のソロをリアのままで弾いて高音が目立ち非常に気持ち悪かった。あと、ティナのテーマの間奏から元にもどるとき、ピックアップの切り替えがうまくいかずに、無理して回したらちゃんと弾けなかった。はらたつ。

 さて、そんな個人的なバタバタ感とはうってかわって、演奏全体を見たらけっこううまくいったのではないだろうか。それは良いメンバーに恵まれたということが一番大きいと思う。本番直前に、ろみさんが(彼のギターもPRSで)「ダブルPRSだから写真撮りましょう」と言ってきて、ああ…僕はこの人に無理して合わせてもらっただけじゃなくて、ちゃんとこのバンドで楽しんでもらえていたんだなと思ってジーンと来た。メタル者同士だけれど、たぶん二人とも今回のライブは体感メタル度5パーセントくらいだと思う。僕なんかギターもいつもと違うし、黙っていたら絶対メタルの人だと気づかれなかったと思うんだけど、どうなんだろう?なんで弾いた瞬間にメタルと思われたんだろう?
 
 1曲目、MotherのAll that I needed(was you)。この前に僕は紙芝居を朗読した。娘たちが寝たあと、真っ暗な部屋に電気スタンドをつけて、娘の絵の具を借用して描いたものである。さば夫さんがそれに合わせてMotherのタイトル曲を弾いてくれた。とっさにこういうことができるのは流石だ。僕はこのライブ中ずっとさば夫さんの横でギターを弾いていた。自分で前に出て弾こうと思っていたところにエフェクターが大量にあって(転換を早くするために他のバンドのエフェクターがステージに置いてある)、前には出られなかったんだけど、結果的には彼の横で良かったと思う。僕がバカなことを言い続けたMCの最中、ずっと笑っていてくれてすごく安心した。どんなにMCで外して客席が凍りついたとしても少しも寒くないわという気持ちになれた。ピアニストとしての技量に注目がいくけれど、やっぱり北海道から人がたくさん付いてくるのは彼の人柄あってのことだ。
 
 そんなさば夫さんのピアノが一番冴えたのは2曲目のティナのテーマだと思う。僕が作ったアレンジでは、ピアノは添え物のような感じだったし、どうやって弾くのか分からない楽器を無理やりやっているのですごく不自然だった。ピアノソロから始まるこの曲は、Fluffing Mooglesでやりたいと思ったことを一番ストレートに形にできたように思われる。そしてSugiさんが僕の作ったベースソロを弾き込んできてくれたのは嬉しかった。Sugiさんはこのバンドをやるに当たって、バンド全体の音像を俯瞰しながら音を出してくれた。スタジオ練習後に僕が音像やギターの分担などで相談した時も率直な意見をくれたのであった。さば夫さんが、ティナのテーマの中間部は雪が降っているイメージだからベースが動かない方が良いのではという意見を言っていた時も、じゃあそうやってみようかなという柔軟性。大人だ。
 MCでも言ったけれど、ティナのテーマはパラメキア帝国用にアレンジを作った後、お蔵入りになっていていつか演りたかった曲。十年前に作ったアレンジだけど、ジャンル的にはゴシックメタルを念頭に置いた感じ。リードギターとボーカルの兼ね合いも合わせて、こんなにライブでやって楽しい曲になるとは思わなかった。

 3曲目はカオスメドレー。なんでカオスかと言うと、一曲目がファイナルファンタジーのカオスの神殿で、そこからめちゃくちゃな展開が続くから。このバンドの曲決めはチャットでやったんだけど、みんな好きな曲、やってみたい曲があって、当然全部やるわけにはいかなかった。だから一人一曲ずつ全部入れてメドレーにしようと思ったのだ。一人ずつの思い出の曲がないとバンドとしてやる時に張り合いが無いもんねぇ。しかし、それぞれ全く違うジャンルの曲を普段聴いているし、通ってきたゲームも全然違う。かくして「本当にメドレーとしてつながるのか!?」という選曲になった。
 そして2曲目はろみさんリクエストのゼノギアス「飛翔」。ライブということで、原曲のオーケストラのイメージやリズムは一度おいといて、ボーカルをメインメロディに据えてノリの良いエイトビートに変えてみた。飛空挺の曲みたいな爽やかさになったと思う。
 3曲目はさば夫さんのサイバーコア(ステージ1)。このゲームには僕がPCエンジンを友達に借りたとき、シューティングの中でガンヘッドやスーパースターソルジャーよりもやり込んだ思い出がある。ゲー音部の飲み会でさば夫さんと話していたときに、「こんなゲームありましたよね」と言ったら通じて、「知ってる!?」と固く握手したのだ。僕ら意外にぜったい誰も知らねえと思って演奏したらお客さんの中に知ってて喜んでくれた人がいた。演奏ももちろん中学生の自分に届けるつもりでやるつもりでいたけれど、MCでしゃべったら反応があって、その人のために心をこめて弾こうと思った。この先、僕ら意外に誰も演らないんじゃないか…
 4曲目、Sugiさんリクエストのワギャンランド2ラスボス。これが高速変拍子を含む難しい曲であった。Sugiさんはアストゥーリアス好きなので本当はもっとプログレッシブにアレンジしたかったけど、練習時間とかメドレーの尺を考えたら無理であった。残念…。でも、この曲ではてまりのボーカルが無理やり乗ってくるところがとても良かったと思う。これをバンド演奏ソプラノボーカルありでやるのも絶対僕らだけだと思う。
 そして5曲目…chihiroさん推薦のソウルブレイダーエンディング「恋人のいない夜」。なんでこれで締めなんだ!というメチャクチャさ加減。作曲者タケカワユキヒデがCDで歌っちゃった曲である。ゲームソングによくある「ゲームと全然関係ない歌詞」なのだ。こういうのの困るところは特別にボーカルバージョンで収録!みたいなこと言っちゃってて、CD買った人がインスト聞きたいのにそれは入っていない…という。この曲をてまりが一所懸命練習してたのは笑った。

 メドレーが終わって最後の曲はテイルズオブファンタジアの「夢は終わらない」。これは僕がどうしてもやりたかった曲。これを聴いていると正体不明の胸に迫ってくる感じがあって、ああ、切ないってこういうことなんだなと思うのです。だからバッキングはものすごく凝って作った。ダンスビートな曲なので、Extremeみたいにノリの良いバッキングにしたかった。…が、この曲だけボーカルの声が普通の高さなので、マイクの音量が変わらないと歌がまったく聞こえない。リハでは、この曲だけボーカルを大きくしてと伝えたけれど、無理でした…。このバンドのボーカルは基本ソプラノ歌いなので、歪ませたギターでゴリゴリやってもそれを飛び越えていく音域なわけだけれど、これだけ普通の女の子ロックバンド的な音像が必要、ということだ。これはリハーサルをちゃんとやったり、ギターもちゃんと聞こえつつボーカルを邪魔しない弾き方にするアレンジを考えたり、改良の余地がたくさんあると思う。またいつかしっかりボーカルが聞こえる状態でやりたい。

 ボーカルに関しては、このバンドを考えた時から「ちゃんと歪んだギターとマッチするだろうか」という懸念があった。たとえばNightwishとかTherionみたいにソプラノボーカルとメタルバンドというのは存在するんだけれど、もちろん音響面では長いバンドの歴史の中で磨いてきたものだし、アレンジからしっかり練ってあるので、そういうことが僕らにできるのだろうか、と。ギターを下げればいいじゃんと思うかもしれないけれど、メタルリスナーにだけ分かる言い方をすると、ソプラノ部分に関してはNightwish、地声で歌う部分に関してはWithin Temptationみたいにやりたかったのさ。無理なことは無いと思うのだ。今後の改良次第で。
 そんな風にこだわるには理由があって、てまりのボーカルってただ高くて大きい音が出るとか、ゲームミュージック界隈で同じことをしている人がいないとかそういうことではなく、表現として魅力的だと思うのだ。僕は女性ボーカルの曲がすごく好きで、はっきり言ってシンガーについては「こうあってほしい」という理想がすごく高い。けれど、初めて同じステージを踏んだ仙台のライブハウスで、ああ、これは自分がギターでもがくのと同じくらいに、なんとかしてこの声を人に聴いてもらいたいなと思った。
 練習が足りない時の彼女の歌のひどさはそりゃーもう頭が痛くなるくらいヤバい。だけど僕みたいに夜起きて部屋で練習するわけにもいかないから、僕が娘ふたりを見ている間にCDを流せるカラオケボックスに行って、一所懸命練習していた。練習音源を聞かせてもらったけれど、今回あんまり聞こえなかったと思われる「夢は終わらない」もすごく良かった。

 総じて言うと確かに自分のギター演奏上の失敗や、アレンジを含めてもっとよくできたというところはいっぱいあったけれど、終わった瞬間に後悔よりも「いい音楽ができた」と満足できるバンド演奏は、僕史上たぶん初めてだと思う。それくらい今回は楽しいライブだったし、次への自信につながるいい体験ができた。
 Twitter上ではあんまり僕らの演奏に関する意見や感想って見なくて、メンバーからの感想だけな気がするんだけど、本番が終わって楽屋に引き上げたまさにそのタイミングで、このライブの主催をして今回燃え尽きるんじゃ無いかというくらい頑張っていたしんざきさんに「いやー、本当に素晴らしかった。ありがとうございます」と褒めてもらった。実感のこもった表情で言われて、僕がそう思いたいだけかもしれないけど、社交辞令じゃなく見えて…こんなに頑張っている人に言われるというのは、これは誇って良いことだと思う。
 そんなこんなで、いい気分になっていた僕は打ち上げ会場でFluffing Mooglesのメンバーに向かって、烏龍茶しか飲んでいないシラフの頭で「こんなこと言って変かもしれないけど、僕らって、けっこうカッコよかったんじゃないかな」って言ってしまった。
 
 唐揚げを食べながら、回ってきた会場アンケートに目を通していたら、こんなのが言葉があった。無断でこんなところに書いてしまってすみません。
「10年ぶりくらいに死神博士さんとてまりさんの音楽にふれて、なつかしくもうれしい気持ちになりました。今日は楽しかったです」
 ああ、本当にやってよかった。

サウンドテスト0008に出てきたぞ。

 ライブ後がっつり風邪をひいてしまって、本当にテイルズオブファンタジアのタイトル画面のようなしわしわな声になってしまいました…
 サウンドテスト0008にご来場の皆さん、当日はどうもありがとうございました。そしてゲー音部の方々、最高の1日になりました。ご一緒させていただいて本当によかったです。

 1日で9バンド、計5時間半のライブ。これはゲームミュージックにおけるラウドパークか!?みたいなノリで、演奏時間もさることながら、バラエティ豊かなサウンドがみっしり詰まった濃密なイベントになったと思います。


 1バンド目はPolygon Wings。EWIやフュージョンが好きな人が集まってカッコイイことやろう!というバンドで、まとまった音と確かなテクニックでお客さんのノリも1バンド目から最高潮に。Moon over the Castleの最中に舞台袖で司会のAKさんがすごく実感のこもった表情で「カッコイイ……!」って言っていましたが、ゲー音部の中にもお客さん側で盛り上がりたい人がたくさんいたことと思います。(当日は満席となったため、ゲー音部員は壁際で5時間立ちっぱなし、あるいはドアの外にいざるを得なかったのであった…)俺たちが一番好きな音はコレで、一番好きな音楽はコレだ!という愛情がストレートに出ていて、実はこの日一番男らしさのあふれるバンドだったと思います。

 そして2バンド目は僕らFluffing Moogles。あとで書くので飛ばします。実はこの日、イベント主催のしんざきさんには後ろ方のすごく良い番手をもらっていたのですが、この順番に変えていただきました。夫婦で参加だったため、娘たちを北海道から来てもらったおじいちゃん&おばあちゃんに預けてきたのです。早く帰らないと2歳&5歳の娘ふたりが「ちから99」「ちせい1」でキャプテンをなぐり殺す反乱軍と化すのでした。この日僕らの出番が終わった瞬間、てまりはメンバーや共演者との挨拶もそこそこに会場を出て自宅へダッシュしました。(出してもらったのに失礼なことをして申し訳ないと言ってました)

 3バンド目、ベスの極み翁。1、2バンド目の大音量とうってかわってベースのみでゲーム音楽を演奏するというバンドでした。「今日はなんでもアリなんだ」という流れを作ってくれたのはこの人たち。ただ腕組んで突っ立っている人がいるとか、指揮者がいるとか、その指揮者を誰も見ていないとか、見た目でのインパクトも合わせて勝負していたし、お客さんからは笑い声がたえず、がっちり心をキャッチしていたと思います。ファミコン版ドラえもんの魔境編後半の曲は個人的に大好きな曲で、これを聴いていたらネタ的な側面ばかり目立ってしまうけれど、表現したい音楽があるんだなーいいなーと思いました。…しかしそれに続いてラストに演奏されたのは1942。みんな思ったことだろうけどあえて言わせてもらうよ。なんでベースだけでゲーム音楽やっといて、ベースが無くてもいい曲をやるんだよ!

 4バンド目、レトロゲーム弾き語り。僕はブルーハーツと完全に無縁な生き方をしてきたので曲は知らなかったけれど、声を聴いた瞬間この人甲本ヒロトに声似てるなーと思った。曲が終わった後にブルーハーツの曲の翻案と聞いて納得した次第でした。実はこの日、9バンドあった中で僕が一番いいなと思ったのは次の弾き語りバージョン「ボンバーキング」。間奏含めてアレンジもとっても良かったし、ギターとボーカルのサウンドもすごく雰囲気があった。ジャンルは全然違うんだけど、AnathemaのDreaming Lightみたいなイメージ。ギター1本持って勝負しに来た彼を僕は笑う気になれなかったけど、水を飲んだりMCでテンパったりしている時にお客さんから笑いが起こっていた。(ここら辺は僕が他の人とズレているところなんだろうけど)。第二弾・三弾がこれからあるとしたら、僕個人の感想としてはキャラを生かすのではなくて、本気で演奏して本気で吠える路線でいってほしいな。

 5バンド目、Enpanadillas。ゲー音部の民族音楽チームで、楽器もケーナ、サンポーニャ、二胡などバラエティ豊かなユニットでした。この日の主催はしんざきさんで、僕が今まで出たどのライブイベントよりも細かい部分がかっちりと決まっていて、出る側としては至れり尽くせりすぎてびっくりだったのですが、こういうことができるのって、何よりもしんざきさんが自分のバンドにかける情熱があってこそだなぁと思いました。だから、こんなに多方面に気を遣って、倒れたりするんじゃないだろうか…とか、当日演奏だけするつもりでノコノコ行くのは申し訳ないとも思っていたのですが、Enpanadillasの音を聴いたら納得。この音を出したいという思いに支えられた上での八面六臂の活躍だなぁと思われました。クロノアのBaladium's driveって、ものすごくいい場面で流れる曲なんですよ。死を乗り越えて、少年が勇気を持って立ち向かう曲です。だから太鼓の達人でやるのってどうなの…と思ってしまうくらいなのですが、この曲を本物の楽器で魂を込めて演奏しているのが聴けてよかった。彩りを添えていた…というよりもはやメインといっても良いようなメイジソさんのパーカッション。この人の1音1音をすごく大切に鳴らしている感覚は、やっぱり今までの演奏歴から来るのだろうか。音楽って、ここしか無いというタイミングでこれしかないという音を響かせることの積み重ねだと思う。僕はギタリストだけど見ていて本当に見習いたいと思った。

 6バンド目、TAKEKEN with Friends。Fluffing Mooglesでキーボードを弾いてくれたさば夫さんがここでは華麗なジャズピアニストに変身…というか、こっちが本来の姿であってギターの音がでかすぎたりMCでずっとバカなことを言っているところでむしろ我慢してたのかもしれないけど。演奏は熟練の域に達していて、ゲーム音楽をひとつの手段としてジャズの世界観に落とし込むという技をやってのけていました。これだけの音を重ねておきながら心地よさを感じさせるのは、1分ギターを弾いただけでクドいとかうるさい、いつ歌始まるの?と言われてしまうHR/HMとは対極にある世界だ…。セッションではリーダーのけんたろさんが、自分が前に出るよりもメンバーをすごく大事にしていることが伝わってきていいなと思いました。え?僕はバンドやるときは自分のことしか考えていませんよそりゃ。

 7バンド目、スヌーピーズ。キーボードの音がもうセガっぽいというか、メガドラっぽいという感じがしました。ギターやドラムが入っていてピアニカがメインというのも初めて見ましたがこのバンドのサウンドを特別なものにしており、リハではなかなか音が前に出てこなかったけれど、本番はバッチリでしたね。フロントのコブさんと打ち上げで隣になったんですが、その日の出来をすごく気にしていて、そんなこと全然ないのに…と思いました。とても良い演奏だったし、バンドのコンセプトもはっきりしていて個性の強い9ユニットの中でも存在感があったと思います。

 8バンド目、札幌ゲー音部。さば夫さん率いるいずれも演奏の上手なメンバーの揃ったバンドでした。イトケンメドレーはベタな選曲ではなく、サガフロンティアのバトル#4や聖剣伝説のバトル2をやっていました。カッコよかった!バトル#4のイントロってすごくその場の雰囲気を持っていくのでカッチリ演奏しないと難しいと思いますが、その辺はビシッと合っていて、このクオリティならわざわざ東京まで来て演奏してもおかしくないよなぁと思うのと、札幌ゲー音部のチームワークの良さを感じました。ドラクエ4のダンジョンメドレーで効果音に気持ちの悪い音が入っていて、最高にカッコ良かったです。ドラクエのダンジョンって、だんだんMPが尽きて行って、ものすごく心細くなったっけ…と思い出しました。

 9バンド目、ファミコンやろうぜ。この辺でお客さんも長丁場に疲れ果てているだろうと思ったら、ほとんど誰も帰る人がいない…本当にゲーム音楽を愛している人が集まった良いイベントに出させてもらいました。このバンドはリーダーの麺さんが、小学四年生のころのゲーム体験を再現するシナリオを書いていて、メンバーがセリフを言いながら曲を演奏していく形式でした。楽器も鼻笛、ピアニカ、アンデス、カリンバ、ディジリドゥ、バイオリン、セガ(テルミン)、カホン、スーファミ…など(これで全部?)というくらいバラエティに富んでいました。お金持ちでたくさんゲームソフトを持っている友達の家にみんなが遊びに来るという設定で、そこにいる誰もの胸が苦しくなったことでしょう。あの時の友達付き合いって、「ファミコンいっぱい持ってる」がひとつの判断基準としてそこにあったと思います。僕の周りでも「あいつ嫌なやつだけどファミコンやりにあいつんち行くか」みたいな流れは確かにあった。なんかそれを思い出してしまったけれど、これは「ファミコンやろうぜ」の再現したい世界が確かにそこにあって、それがすごく観ている側にリアルに訴えかけてきたということだと思う。それより「ファミコンやろうぜ」が屈託なく明るいメンバーばかりで、ああ、こういう小学四年生でありたかったよなーという気持ちにすり替わって行ったのでした。…しかし、ひとつだけ注文させてもらうとすると、男子の家にあんなに女子がたくさん遊びに来るって、そりゃ人生の一大イベントじゃないのか!?その辺、すごくさらっとしているように思った。ファミコン好きな女子なんて僕の周りにはいなかった。せっかくファミコン好きな女の子が来ているんだから、わざとケンカして女子の目線を気にしたり、いつもの何割か増しで悪ぶっているメンバーがいたりしても良かったじゃないか!…と思って観ていたら、最後にフロントのスーファミを演奏していた人が「そういえばこのあいだ裏ゼルダをクリアしたんだけど…」と、ファミコンうまいアピールをしてきた!すばらしい!このタイミング。すごいシナリオだ!

 これ以外にも、即興演奏コーナーがあってその場リクエストの曲なんかやったりしたんだよこのイベント…。ウソみたいだろ。これで1日なんだぜ…。来なかった人本当に後悔すると思う。
 自分の出たバンドFluffing Mooglesについては別のエントリーで書き直しますのでそっちも読んでね。

2016年9月25日日曜日

久しぶりにライブします!(not パラメキア帝国)

 以前から付き合いのあるゲー音部さんで、セッションではなくライブイベントをしよう!という企画が立ち上がりました。2016年11月19日(土)に、浅草橋のBUNGAJANというライブハウスで行われます。(詳細は以下のサイトをご覧ください。)
 http://kantogeonb.blog.fc2.com/blog-entry-21.html

 この中の「Fluffing Moogles (フラッフィングモーグリズ)」というバンドで、死神博士&てまりが出演します。
 なんだパラメキア帝国はもうやめたのか、とか、イングヴェイのように「ああ、ボブかい?…あいつはクビにした。ソウルメイトが聞いてあきれるよ。奴はアスホールだ!」とかそういう展開ではありません。あんな上手にギターを弾けてなんでも僕の言うこと聞いてくれる人をバンドから追い出すわけありません。
 ゲー音部で部員が企画を持ち寄り、メンバーを部内で募って成立したバンドがライブに出る…という流れだったので、そこに乗っからせてもらったのです。
 僕は当然ですがギター、てまりは今回キーボードなしのボーカルのみを担当します。
 もう一人のギターにはゲー音部きってのHR/HMギタリストでジェミニ誘導のリーダー、ろみさん。
 ベースは関西ゲー音部、『Sound of Ciel』、ゲーム音楽バンド『恵美須町』で活躍中のSugiさん。
 ドラムはゲームレジェンドの指ドラムでもおなじみ、関東ゲー音部のchihiroさん。
 キーボードは札幌ゲー音部や伝説のゲームミュージックバンド「コロポックリ」でも活躍していた、さば夫さんが担当してくれます。
 これはたとえて言うなら、そう…ファミコンジャンプのようなオールスター感だぜー!(不吉な比喩)

 このイベントには、他にも
 ウィンドシンセをメインにしたフュージョンサウンドの「Polygon Wings」
 ベース3本でゲームサウンドを再現する画期的な試みである「ベスの極み翁」
 ゲー音部にしかわさんのソロ活動「レトロゲーム弾き語り」
 ワールドミュージック的ゲーム音楽を本格的に聴かせる「民族音楽チーム」
 凄腕プレイヤーのアドリブセッション「TAKEKEN with friends」
 謎に包まれたゲーム音楽バンド「スヌーピーズ」
 満を持して関東に乗り込む「札幌ゲー音部」、そしてこれぞゲー音部!のサウンドを奏でる「ファミコンやろうぜ」
 …と、1日で9ユニットの演奏を楽しむことができます。また、恒例のリクエストコーナーもあるようなので、僕もFFとかロマサガとか昔のイースとかリクエストされたら弾きまくるぞー!…って、ゲー音部はそういう方向性じゃないかもしれませんが。とにかく古今東西のゲームミュージックが好きな人ならきっと忘れられないイベントになることと思います。

 さて、今回僕が出るFluffing Mooglesですが、「ソプラノボーカルとゲームミュージックの出会い」ということでやってみようと思っています。もともと歌詞のあるものはロックバンド的なアレンジを、歌詞のないインスト曲はボーカルを楽器の一つとして組み込んで演奏します。インスト曲に歌詞をあてはめるのではなく、主旋律や副旋律をボカリーズで…という感じです。
 曲はいつも通りファミコンやらスーファミから選んでいますが、メンバーで話し合って決めたので、けっこう真剣にゲームミュージックのメロディの良さを楽しめる線になっています。全部僕が選んぶのだったらボコスカウォーズとか、ヴォルガード2とかやってソプラノボーカルで「8方向〜はーちほうこう〜♪」とかやったのかもしれませんが、ホント真面目な選曲です。きっと楽しんでもらえると思います。
 
 実はパラメキア帝国の活動をしている時に、いつも思っていたのは、ボーカルをあんまり生かしきれてないよなーということです。だんだんボーカルが前面に出るアレンジも考えていってはいるのですが、たとえて言うと、作る料理が決まっていないのに食材はある…みたいな感覚もあるのです。これはパラメキア帝国のように「ハードロックでギターインスト」とフォーマットが決まっている中でやるよりも、むしろ一度「ボーカルがメイン」と決めて取り組んだ方が今後に自分でやるアレンジや演奏にも生かしていけるんじゃないかと考えました。

 もともとゲームミュージックは機械が発するものですが、いわゆる昔のピコピコ音にも生の音楽や楽器への指向性は常にあったように思われます。たとえばディスクシステムの音にビブラートがかかっているのを人が聴くとき、それはコンピューターが出す均質な信号の集まりではなくて、機械が「生」を目指して軋む音に変わるのだと思うのです。
 対して、クラシック音楽の中に出てくるソプラノの歌声は、洞窟や教会に音を響かせるためのものであったにせよ、オーケストラの音の壁を乗り越えるためのものであったにせよ、人間が声帯を震わせて自然に発する音声とはかけ離れています。そして、多数の人間が響きを合わせて更に大きな音を発したり、または和音を作ったりするために、均質なものになっていったわけです。
 目的地が正反対にあるものが交差するとき、面白い表現が生まれるんじゃないかなと思って、僕はゲーム音楽バンドにソプラノボーカルが乗ることの意義を感じています。

 まあ、それは勝手に僕が思っていることです。今回は自分のバンドの活動ではありませんし、メンバーはバラバラな場所から集まっているわけだし、今回は概念がどうとかいうよりもとにかくまずは演奏を楽しもう!という雰囲気でやるのが正解だと思っています。僕もとにかく自分がニコニコして気持ちよく弾きたいと思います。各パートの弾き方などもメンバーの皆さんにお任せてしており、実際にメンバーが顔を合わせてリハーサルしてみたら、いまアレンジ案として挙げている曲の感じもまた全然違うかもしれません。イベント名の「サウンドテスト」にふさわしく、新しい人や音の出会いがあることを楽しみにしています。
 
 パラメキア帝国を結成した頃、まわりに同様のバンドがほとんど無くて、仲間を求めて地方に行ったり、ワンマンでやらざるをえなかったり…ということを思い出すと、同様のゲーム音楽をする人たちだけで対バンのイベントが開催されることを本当に嬉しく思います。そして、この日に参加した人は、ゲーム音楽を聴いて懐かしい気分に浸るだけでなくて、ゲー音部の風に触れて「俺もひとつ仲間を集めて何かやってみようかな」とか、もっと言ったら「新しい楽器を手にとって好きなようにゲーム音楽弾いてみようかな!」と思えるような素敵な1日になる気がします。ぜひお越しくださいね。

2014年9月29日月曜日

娘とゲーセンに行く素晴らしさについて。

 ヒマを持て余している娘と車に乗ってゲームセンターに行って来た。壮絶なるイヤイヤ期を経て少しずつ成長しつつあるのかな…という3歳の長女。
 僕の父は長女を「女帝」と呼ぶ。まったく物怖じせずに無理を通しまくる態度と、それでも父や僕をして数々のおもちゃや果物や洋服をプレゼントさせずにはいられない存在感が、この異名の所以である。
 
 さて、車に乗り込むや「プリキュアの曲。」とリクエストする女帝。述語はない。彼女用のCDRをカーステレオに入れながら「何を聴く?」と訪ねると「えりえんど、ともだち」という。「永遠の友達」である。舌足らずなのと、プリキュアの歌詞なんて全部意味が分からないのに音だけで言葉を覚えているのでこうなるのだ。ちなみに「ラブリー、プリティ、イェイかわいい」は「ダブリピーピーイェイかわいい」である。
 
 そんな舌足らずが一所懸命歌う声が運転席後方のチャイルドシートから聞こえて来る。「ときをーこえてーちからあわーせー、ちゅーなーがーるきじゅーなー」

 それだけでもう限りない多幸感で僕などは胸がいっぱいになる。
 ただプリキュアの曲って、女の子ものとはいえ正義の味方だから、歌詞は全部ド正論なんだよね。全く意味わからず歌っている声とあまりにもアンバランスで笑える。
 まあ僕も子どもの頃、スカイライダーの歌が好きだったけど、「君は何に賭け、何と戦うか 」とか意味不明だよね。
 さて、やっとルールや操作が飲み込めて来た様子の娘がやるものは決まっていて、プリキュアのカードが出る ゲームである。アンパンマンのゲームがあればそれもやる。
 娘が自分と一緒にゲームセンターに入って、100円を入れて椅子に座る。その素晴らしさとかけがえの無さが分かるだろうか。

 かつてゲームセンターはもちろん僕らの理想郷だった。僕の年齢だと、「不良」に紛れてこっそりゲームしてた時から、ファイナルファイトで人が増えて、スト2で一気にメジャーになって、バーチャやUFOキャッチャーで出入りする人がほぼそう取っ替えになって、プリクラが溢れて閉め出されて…という時期を目の当たりにしているわけだけれど、やっぱりそこは僕らのゲームセンターだ。

 僕は別にモテなかったから、「ガールフレンドとゲーセンに行く」などという大それたことを初めてしたのはかなり後だ。やるのがシューティングやアクション、格ゲー、たとえプライズゲームにしたって、とにかく僕らは1クレジットに如何に集中し、どう自分の感覚を研ぎすまして行くかという作業をしていたわけだから、彼女と遊びに行ってそれをする神経がもう分からなかった。
 バーチャぐらいからかな、あか抜けた服装をした大人が派手な格好の彼女を連れて来て、しかもけっこう上手かったりして、なんだこの人たちは…と思ったのは。でも、ああなりたいとか、上手くなったら彼女ができるとかは思わないよね普通。そういうのは「別な人類」という括りだった。
 
 まあとにかく彼女とゲーセンに行くというのは僕にとっては裏切りみたいな行為で、最初は何だか後ろめたい気分になって、プライズしかやらなかった。あとはクイズゲームとかね。二人でできるものとか、二人で楽しめるものだけ少しやって帰る…みたいな感じだった。それでも自分は彼女とゲームセンターに来ているんだ、思えばはるばる来たもんだという感懐はあった。

 さて、3歳の娘とゲーセンに行くのは彼女の場合と何が違うか。年齢…というのもあるだろう。若いコはやはり良いものである。
 大きく違うのは、僕がゲームを全くやらず、娘のやるのにカードを用意してあげたり、お金を入れてあげたりするというところか。じゃあ僕は女の子が一所懸命ゲームをするのを隣で見たかったのか?僕はゲーセンに連れられて行って、隣の席に座りたかった…?倒錯なり転倒なりが起こっているのだろうか。なにはともあれ同時プレイじゃないのに二つ席を使っていると店員やゲーマーににらまれるんじゃあるまいか 。

 娘とプリキュアのゲームを何度か連コインしたあと、ふと思った。きっと僕の父が子どもの僕を映画館に連れて行ったとき、マンガを買い与えた時、あるいはこんな気持ちになったかもしれない。そこには形はないけれど確かな伝承とでもいうべきものがあったに違いない。それは釣りであったかもしれないし、祭りやキャッチボールであったかもしれない。
 
 先日、娘と足を運んだきゃりーぱみゅぱみゅのライブの時の感覚、3月に二人で行ったプリキュアオールスターズの映画 で座席についたときのあの気持ち。その正体が分かった気がする。Carry on my wayward daughter .

2014年9月27日土曜日

Roaminig Sheep

 ホームページの扉絵を、てまりんのお友達のgrassiaさんに描いてもらったよ。
 FFの女性キャラクターではティナが一番好きなので嬉しい です。天野イラストの半分死んでそうな目つき(褒め言葉)とか、退廃的なイメージがあっていい。というか、FFVIのビジュアル全てが、魔導アーマーに乗っているティナに集約されていると思う。
 
 そもそも、それまでのファイナルファンタジーってすごく女の子に魅力がないゲームだったと思う。当時、あんまりゲームの中の女の子がいいなと思ったりしない子どもだったのもあって、FFと言えばミンウとかヨーゼフみたいな濃い男キャラとか、レオンハルトやカインみたいな影のある二枚目が動かしていくものだと捉えていた。だってマリアとかローザとかレナとかって 、みんな同じに見えるしねえ。

 そんな中でティナが特別に見えたのは、たぶん女性らしさというものを感じなかったからだと思う。中学生とか高校生が女の子に憧れるのって、カワイさとかお色気とか清潔さ、精神的な成熟度、そして優しさでしょう。ティナって、そのどれにも当てはまらないんじゃないだろうか。手に入れようと思っても近づくことさえできないような脆さと完璧さを兼ね備えた魅力を感じて、当時友達には言えなかったけど 強烈に惹かれていたものだった。たとえば人形を作る人って、そういうものを形にしているんじゃないかなと思う。

 このゲームのエンディングで、ティナが飛空艇の先に一人で行って、髪が風になびくシーンがあるけど、あれはスーファミ屈指の名場面だ。ああ、この人はやっぱり誰のものにも、どんなものにもならないんだなと思った。形としては聖剣伝説のラストでヒロインが樹になってしまうのと似た感覚を覚えた。

 そんなわけで自分にとっては特別なキャラクター。曲も大好き で、作る予定だった4thアルバムでは、自分としては一番気合いを入れてアレンジしたのがティナのテーマだった。それぞれのパートをすごく練って作って、何度も自分でデモを作ったし、スタジオに入ってバンドで合わせていてもすごく気持ちの高まってくるものだった。 これはいつか形にしたいなー。