2014年11月25日火曜日

録音完了

録音が無事終わりましたー!やったーひゅーひゅー!…ありがたや。
コミックマーケット87での発表となるので、一ヶ月以上前にほぼ作業が終わってしまった。ゆ、夢か!?
活動休止前も、CDを出すとなったら食べたり寝たりする以外は全部音楽に時間を使っていた。だけど1ヶ月前なんて言ったら、まだ録音どころか編曲さえ終わっていない曲がいくつもある…という感じだっただろう。

CD制作を、編曲→録音→ミックスと分けて考えてみる。すると編曲というのは、ある程度出来上がると「このくらいかな」と思える。だけど録音とミックスは果てのない作業なので、もっとやれば良いものが録れるかも、とか、音をここまで追い込めるとか、「今ある時間」をフルに使い切ってしまう類のものだ。僕のギターの技術が5とすると、それを10にするために何十回と同じ曲の同じ部分を録音し直すのだ。はずかしいから曲は言わないけれど、テイク200を超えたものもある。もはや録音というより、練習という域である。まあパンチインをしていないのもあるけれど、さすがにそれは時間を使いすぎだ。(しかも速弾きとかに関する部分ではなく、ゆっくり弾く部分)
よくドラマとかマンガとかで、山奥に住んでいる陶芸家が、焼きあがった皿や壺を窯から出して「ちがう!」バリーン!とか割るでしょう。完全に自分もあの状態です。それをこだわりと呼ぶならカッコイイのかもしれないけど、そんなことはない。試しに陶芸家の皿が、ラーメン屋になったらどうか。寸胴鍋に野菜とか肉とか骨とかたくさんたくさん煮込んで、「ちがう!ちくしょう!」ザー!(鍋の中身を捨てる音)「くっ…いつになったら理想のスープが…」とかやっていたら、勝手にしろというのを通り越して、食べ物を粗末にしやがってという気になると思う。
僕も夜な夜なアンプをつないで音を出しているだけなら罪は無いような気もするが、その分で寝不足になって家族との生活や仕事に集中できなかったら、それは罪悪というもんだ。

ある雑誌のインタビューで、ザックワイルドは「3回弾いてダメなフレーズはもう弾かない」と言っていた。今までの録音に入っていた音は全部3回以内で弾いたということだ。明らかに盛ってるだろと思ってしまうが、ロックミュージシャンというのはある意味サギ師みたいなもんだから、それはいいとする。僕も3回以内に弾けるフレーズだけにしたら…たぶんできあがったCDは、スーパーカセットビジョンとかの曲しか入ってないものになるだろう。
ゲイリームーアは、「レコーディングでいくら繋ごうが、ライブで一発で弾けばそれでいいだろ」と言っている。僕はつなぐこと自体に罪悪感を持っているし、まずライブでミスらず一発で、というのも無理である。

ならば集中力でカバーするしかない!と、録音を始めたら一切休み時間は取らず、というかほぼトイレにも入らず4〜5時間は続けるという形で進めてきた。練習に関しても、仕事から定時で逃げるように帰ると15分〜20分練習できる…というのを繰り返してやってきた。それでも最後は、この連休に録音が間に合わず、休日に娘を児童館に連れて行ってもらって(家をあけてもらって)夜じゃない時間帯に録音ということもした。僕の腕でギリギリというところまではやった。
だから、プレイヤーとしてこれで満足、ということでは全然ないけど、精一杯だとは言える範囲だと思う。

さて、昨日は録音を終えたファイルを全て持ってメンバー(ボブ)の家に行ってきた。ミックス・マスタリングを全部やってもらっているので、その具合を聴いて、どこをどうしてというリクエストを伝えるためだ。
これが本当によく仕上がっていて、満足という言葉以外に思いつかない。デモとして上がっているものとはもう全然出来が違う。というか、やっぱりミックスを夏に始めた素人である僕がやるのとはワケが違う…。
sound cloudのファイルに関して、CDを出すとして試聴できるのは1〜2曲というのはケチだし、クロスフェードデモは大嫌いだし、全部アップしちゃえ!と思っていた。でもこれだけ音が変わると、試聴版は音質を落としています…みたいな感じになると思う。アップしていた時は全然そんなつもりなくてこれでもいい音だと思っていたけれど、結果的にそうなってしまった。
とにかく楽しみにしていてください!

以下、今回のアルバムの収録曲決定バージョン。

タイトル  Push Start My Heart
1  旅の幕あけ (サガフロンティア)
2  オープニングテーマ (ウィザードリィ)
3  First Step towards Wars (イース)
4  アセルスのテーマ (サガフロンティア)
5  パラメキア帝国 格ゲーメドレー (ファミコンいろいろ)
6  行け!月風魔 (月風魔伝)
7  瞳のナイフ ーウルティマー (ウルティマ恐怖のエクソダス)
8  巨人のダンジョン (ファイナルファンタジーIV)
9  最後の闘い (ファイナルファンタジーIV)
10 永遠の夢 ぼくらのパセリ城 (ワイワイワールド2)

10曲かー。よくやったなぁ。てまりんとボブに感謝。
さて、僕は録音が終わってなんにもすることが無くなってしまった。どうしよう…。次のアルバムの曲でも決めるか!

2014年11月19日水曜日

内向的プロモーション ゲームレジェンド編 後編

 前回は行くまでの逡巡に字数を費やしてしまったが、やっぱりいい大人がグズグズしているのはみっともない。今日はイベント自体についてと、いかに私が前向きに、英雄的な勇気をもってして初めて会う人としっかり会話して帰ってきたかについて、つぶさに書いてみようと思う。

 まず、iphoneに勇気をもって行動するときのプレイリストを入れた。筋肉少女帯やメロデス、イトケンのNever Give upとかYesの燃える朝焼けとか、テンションを上げるしかない曲ばかりが入っている。これを聴いていて途中で嫌になって帰ってきたことがない。実に前向きな行動である。

 さあイベント会場に着いたという所で、聴いている音楽は伊福部昭の怪獣大戦争メインタイトルに。これ以上ないくらい、やたらめったら気持ちを鼓舞する曲でちょっと疲れてきた。そろそろ谷山浩子とか聴きたい。ゆーがーんだー王国にー、ぼーくーたちはー住んでるー…
 いや、ダメだ。前向きに前向きに。

 会場の入り口近くにチラシ置き場を発見したので、入場するときにスタッフの方にお願いしてフライヤーを置かせて…もらわなかった。
 あ、あれー?
 とりあえず入って様子を見て、ちゃんとレトロゲームのイベントが行われているのを確認してから置かせてもらおうと思ったのだった。まあ、間違えてEXILEのファンイベントでした、とかは無いと思うけど、こういう時ってすごく慎重になったりしない?
 
 会場のドアを開けてみると、それはもうタイムスリップしたような空間で、何十年も前のゲームが展示されていたり、そのグッズが売られていたり、しかもそこに人がたくさんたくさんいるというのが驚きだった。ああ、僕はゲーム音楽のバンドなんて10年ぶりに再開して、勝手に不安になっていたけど、まだ大丈夫なんだと思った。

 そこでUターンし、フライヤーを置かせてもらうことにした。「あの、チラシを置かせてもらってもいいですか?」よし。噛まなかった。
 するとスタッフの方はこう言った「どうぞ。あっ、パラメキア帝国さんですか」
 
 え、この人僕らのこと知ってるの?やった。10年前のことを覚えていてくれる人が他にもいたんだ!
 いや、ちょっと待てよ。他にパラメキア帝国っていうサークルがあるのかも。しかもそっちの方が有名だったりして。もしくはFF2のパラメキア帝国を知っていて「あなたのサークルはパラメキア帝国って言うんですね」という確認の意味で言ったのかも。
 すると、その人は「ゲームミュージックだと、この辺に置くといいですよ」と言った。
 やっぱそうじゃん!知ってるんだよ。しゃべれ、何を?
 ありがとうございます、覚えていてくださったんですね。また頑張ります。くらい言えばいいのに頭が回らなかった。結局「よろしくお願いします」か何か言ってそそくさと会場に戻ってしまった。

 頭をぐるぐるさせながら会場を歩いていたら、くにお君のTシャツ売り場の人に「そこの素敵な男性の方!Tシャツいかがですか?」と呼び止められる。売っているものも昭和だけど、かける言葉も思いっきり昭和だ。「お似合いになりますよ!」って、くにおのTシャツが似合うように見えるのか。僕のどこにツッパリ要素が?いや、言葉通りに受け取ってもしょうがないんだけど。

 その先で今回の目当てであるゲー音部が演奏していた。ぐずぐずしていて開演に間に合わなかったのだ。Ys2のTo make the end of BattleやMotherのPollyannaをやっていた。いいなー。
 メンバーがとても多く、普通の室内で演奏していることもあり、アコースティックな楽器がメインとなったアンサンブルだった。楽器を持って集まってきた人が自由に、楽しく合わせている感じ。「耳をすませば」でカントリーロードを演奏するシーンがあるでしょ、パッと見てあれを思い出した。

 全部の楽器をバランスよく聞かせるとか、アンサンブルをしっかり聞かせるということじゃなくて、とにかく好きな人が好きに合わせるという目的をしっかり果たしつつ、上手な人がきちっと全体をしめている。キーボードをさば夫さんという方がやっていて、てまりんにもすごく上手だと聞いていたけどその通りで、他にもケーナってこんないい音なのかー、とか、サックスすごくいいなーと思った。ジャズとかフュージョンとか全然聴かないしわからなくて、正直言ってサックスを良いと思ったのって、この時が初めてかもしれない。ホントすみません。(エレキギターとあんまり一緒にならない楽器というのもあるかもしれない)
 恐るべきレパートリーの多さに目が行くけれど、サウンド面でもやりたいことがハッキリしていて、これを聴いて満足しない人はいないと思った。
演奏している人にも、お客さんにも共通して漂っている幸せな雰囲気がすごく印象的だった。いいなー。僕もやりたい。
 (やりたい、やってみたいと思わせることも、このバンドの得難い魅力なんだと思う)

 聴いていたらリクエスト用紙を渡してもらった。その場でうーん、と迷ってしまった。以前、自分でやっていても、⚪︎⚪︎の85面をお願いします、とかそんなこと言われて、「知らないよ!85面って言いたいだけじゃないの!」とか思ったことあるし、いや、85面はないか。
 とにかくリード楽器が活躍しそう、かつ演奏が盛り上がりそうな、「火の鳥」をリクエストすることにした。
 ……あれ?
 まいあがってるのか緊張してるのか両方なのか、「火の鳥 鳳凰編」って書けない!ふだん漢字を扱う職業なのに!やばい冷静になれ、よし!思い出したぞ。ふー…「鳳凰編」。それで、曲名は「大和」。これでよし。うわー、「大和」って書かず「大知」って書いて提出してしまった!ちょっと待ってください。書き間違えました。
 いや、やめた。リクエスト用紙を渡したのはゼルダ姫のコスチュームに身を包んだ女の人だった。僕がコスプレの人に話しかけられるわけがない。

 ステージの第3部が終わったあたりで、行く前にコンタクトを取っていたゲー音部の代表、麺さんに挨拶をした。僕はネットの中で一度挨拶をした人にならけっこう話しかけられるのだ。デジタル世代という感じでしょう。
 麺さんは気さくな方だった。こんなに人が集まってくるのだから嫌なこともあるだろうに…。うう、僕みたいなギスギスした人間とは違う。
「何か弾いていきますか」と言われたけれど、人の楽器を貸してもらうのも、人の晴れ舞台に勝手に踏み込んでいくのもよくないと思って遠慮した。しかしゲー音部の演奏を聴いてすごくいい気になっていた僕は「バンドのチラシをお客さんに配ってもいいですか?」と聞いた。なんかここに来るお客さんで、この雰囲気なら配ってもにらまれたり、その場でケッとか言われて丸められる感じもしなかったのだ。

 快諾してもらってチラシを配ることにした。第4部が終わった後、出て行くお客さんに「お願いします」と渡した。バレエの女の子たちを思い出せ、笑顔で感じよく渡すんだ!きっとバレエ教室の先生もほめてくれる。
 そうしていたら、引き返してチラシをもらいに来てくれる人や、「あ、パラメキア復活するんですか」と言ってくれた人もいた。冬コミ行きますよ、と言ってくれた人も、元気づけてくれる人も。ああ、ホントによかった…

 ゲー音部の演奏が終わると間も無くイベント自体も終了し、僕はゲー音部の打ち上げに参加させてもらうことになった。
 いや、信じられないけれど行ってきたんですよ。人様の打ち上げに。そこで余ったチラシを配ったり自己紹介をしたりできれば、と思ったけれど、まあそれは自分に期待をしすぎだった。そもそもこういう大声を出さないと自分の声が聞こえない空間がもうダメなのを忘れていた。

 そんなわけであまり多くの人とお話できなかったのだが、近くに、素晴らしい演奏だったキーボードのさば夫さんと、やはりその日「ギースにしょうゆ」で拍子木を叩いてその場の雰囲気を全部持って行ったFCBのメイジソさんがいて、一緒にお話しをさせてもらった。かたや北海道からこの日のために参加している凄腕の奏者で、かたや1000人規模のイベントで重要な役割を担うプレイヤーで、二人とも本当に強いこだわりを持ってやっているというのはあるけれど、とにかく話していて安心する感じの人達で、また僕は勝手にああ、僕のやっていることはOKなんだと思った。そして、今週これからCD制作の追い込みをかけるけれど、きっと頑張れそうだと思った。
 
 帰ってからギターの練習をした。CDもそうだけど、ライブをやりたい欲が溢れてきた。イベントで買ったコレをギターにつけて出ようかな。


2014年11月17日月曜日

内向的プロモーション ゲームレジェンド編 〜前編〜

 川口市で行われた「ゲームレジェンド」というイベントに行ってきた。ファミコンなどのレトロゲームのファンイベント/即売会だ。
 本当は録音を進めなきゃ…といっても家にいたら女帝(長女)の相手をしなきゃいけないので、どうせ22:30まで体は空かない。つまり、どうせ練習・録音やミックス作業は夜までできないなら、ゲー音部を聴きに行くついでに情報収集と宣伝に行こう、と思った。
 休日に娘を置いて出かけるのは気がひけるなあと思いつつも、この日は女帝のことを連れ合いにお願いすることにした。

 とはいっても、まず「宣伝」という行為自体に対して消極的、かつ人見知りパワー255の自分のことである。はっきり言って、何も用意しないでうまくいくはずがない。そう思い、今回はフライヤー(チラシ)を用意することにした。
 各イベントにはフライヤー置き場があると知ったので、そこに置かせてもらう。また、サークルの頒布物を買った時に、「こんなのやってます。よろしくお願いします」と言って渡したらいいんじゃないだろうかと思った。
 あと、偶然知り合った人に渡すとか、会場の出口で配るとか。(そんな積極的なこと自分にできるのか、とは思いつつも)

 イベント前日、女帝が眠りについた22:30のことである。さあフライヤーのデザインを考えるぞ、と思ったらある出来事を思い出した。
 何年か前、僕が髪を切りに行った時のこと、ドアを開けて店から出てきたらそこに小さな女の子が二人立っていた。店に入るのかなと思ったら、そうではないようである。二人は僕の方を見て、「よろしくお願いします」とチラシを差し出した。
 見てみるとそれは、バレエの発表会のお知らせだった。二人は髪を後ろできちっとまとめていた。レッスンの前後なのかもしれない。寒い季節だったけれど、その場にずっと立っていて、道行く人にチラシを渡しているのだ。
 立派だなあと思った。音楽も踊りも相手があってのことで、目の前の人に向けて心を込めて表現をする。であれば、お客さんも自分が足を使って勝ち取らなければならない。自分も謙虚にならないと、と感じた。
 そして、自分の手でチラシを配るよう指示をした、(おそらく年輩の)街のバレエ教室の先生の顔を思い浮かべた。きっと留学経験があって、今も生活の中で暇さえあればストレッチをしているのだ。

 そういうわけでフライヤーには勝手に良いイメージを持っている。以前行ったイベントでは印刷所に頼んだであろう綺麗なチラシばかりが並んでいたが、僕は敢えてマジックで書き、白黒でコピーしようと思った。新聞の折り込み広告でも、スーパーの野菜や肉の写真が並んだきれいな写真より、手書き一色の八百屋のチラシの方が見てみようという気になる。
 …いや、僕がそうするだけで他の人はどうだかわからないな。やっぱり綺麗な方がいいのか?しかし、年配のバレエ教室の先生だって教え子に「あなたがた、手書きでチラシをお作りなさい」とか言うような気がする。だから手書きでいいのだ。

 そういうわけで書いたチラシがこれ。
 


 うーん、どうなんだ?これ。
 しかし家庭用のプリンタでさえフチなし印刷できるのが当たり前なのに、コンビニのコピー機って四辺5ミリも写らない範囲があるのね。それに苦労して深夜のローソンで怪しいチラシをコピーしては失敗しまくり、結局家に帰ってからはみ出した部分をカッターで切るという作業をしてしまいました。
 これ。



 いや、ここまで来て気づいた。このチラシって、僕らがゲームミュージックのバンドをしていて、ちょっとハードロック寄りで、昔のコナミやFFの音楽を演奏してて、CDを出すということが何も伝わらない!
 作っているときは情報量が少ない方がカッコイイと思っていたけど、これ要するに、昔のパラメキア帝国を知っている人が「おー、また始めたのか」と思ってくれる、ただそれだけの紙になってしまった。

 まあ、いい。こうなったら、もう僕という内向的な人間が自分のバンドのフライヤーを作って、それを人の手に渡す、それが目的だ。バンドの宣伝をしにいくというより、謙虚になって自分の魂を清めるため、ということにしよう。もういいよそれで。

 …さて、そこまで作業をして寝たわけだが、知らない人に会うと思うと緊張して朝5時には目が覚めてしまった。仕方がない楽器の練習だ!とやっていて、プリキュアが始まるくらいの時間になったら女帝や連れ合いが起きてきた。そこで口をついて出たセリフ。
 「なんかさあ、知らない人に会うと思うとさあ、行きたくないんだよね…」
 我ながら引きこもりのような発言であるが、十年来の付き合いである連れ合いには「まあ、そうなるよねー」みたいな感じで軽く流された。
 さて、カバンに財布を入れたり、着替えたりしてとにかくグズグズしていたら、既に僕が出発したと思った連れ合いの声が二階から聞こえてきた。
 「なにこれ!?フライヤー忘れてるじゃん。バカだ!電話かけるか!」
 
 はじめてバカって言われた!そして家の中にいるのに!
 バカって言ったな!まだいるよ!しかも忘れていかねーよ!と二階に上がると、「いや、君ならこういうのを忘れて行きかねない」と居直られた。そんな深夜のコンビニに行ってさんざん苦労して、しかも早朝に一枚ずつカッターで切ったものを忘れていくなんてことするか!と思ったが、まあ確かに、するかも。僕なら忘れていくな、きっと。

 そんなこんなで家を出た。  つづく。

2014年11月12日水曜日

自転車ですっ転びました。

 何日か前にブログで「腕が折れなければCDは完成すると思う」とか書いたけど、今日は本当にその通りになるかと思った。
 自転車で出張に出た。帰りに普通の速度で走っていたら、車が左側をずいぶん塞いできて、やだなあと思いつつも少し左に寄りながらそこを通り抜けようとした。そしたら道の端っこにでっぱりがあって、それを知らずに突っ込んで行ってしまった。
 前輪がパンクしてチェーンがはずれ、後輪が浮いて自分は前に投げ出された。両手をついて膝と肘を打ち、半回転して仰向けに地面に倒れた。自転車通勤をして初めてというくらい大きな転び方をしたので、これはやばいと思った。
 同時に思ったのは、転んだときに手のひらはついたけど、指は怪我しなかったので楽器は弾けるということ。よかった…。でも、両手の平がボロボロにむけて、ちょっと焼いた牛肉みたいなビジュアルになったので、まあネックを握ると痛いです。あと、膝と肩に変な痛みがある。まいった。
 家に帰って見てみたらスーツは破けてるし、サイクルコンピュータ(速度とか出るやつ)が壊れていた。そっちの意味でもけっこう痛い。

 僕は痛みに弱い人間で、人がケガをしているのを見ていても、どんなに痛いか想像して勝手に苦しんだりするくらいである。そういうこともあって、痛みに耐えて何かを成し遂げましたとか、ガマンしましたという話には素直にすごい!と思ってしまう。
 僕が好きなのは、出典とか気にならないくらいに現実を超えたレベルの話だ。

 僕が子供の頃、父が「アメリカの大リーグはスゴイぞ」という話をしていたことがある。僕の親世代だったらそういう人は多いと思うけれど、ずーっとテレビの野球中継をつけっぱなしで、「今のがストライクかよ!」とか「そんな球を投げるから打たれるんだろうが」とか文句を言いながら観ていたものだ。そんな父親が、いかに大リーグがすごいかということを熱弁したことがあった。僕はたぶん小学生にはなっていなかったと思う。
 球が何km出るとか、ホームランを何本打った人がいるとか、そういう話は覚えていない。僕の記憶に残っているのは
 「いいか、大リーグのピッチャーはすげえんだぞ。フォークボールを投げると指の間にものすごい力がかかるだろ?それで人差し指と中指の間が裂けるんだ。それでな、ベンチに行ってセメダインを出して、くっつけて投げ続けた選手がいるんだってよー」という話である。
 セメダイン!そんな身近な文房具を傷口につけて投げたのか!すげーしみそう!と恐れ慄いたのを覚えている。試合が終わったら、固まったのをどう剥がすんだろう。また裂けるて血が出るんだろうか…なんて想像をして、勝手に痛がったものだ。話の真偽はさておき。
 そんな話が脳裏に残っていて、小学二年になったらファミスタに「メジャーリーガーズ」が出たのだ。日本シリーズで優勝するチームより遥かに強く、全員4番バッターみたいにホームランを打つので、どんなにファミコンが下手な子でも勝つことができる。カセットを買った人も遊びに来た友達も、なんじゃこりゃ…と呆れていた。しかし、僕だけは友達に「メジャーリーガーズ」強いのは当たり前だ!と熱弁をふるった。だって、大リーガーってのは、セメダインをだぞ、と。
 
 同じく痛くてスゴイ話。
 中学生のころ、社会の先生が自由民権運動について教えてくれた中に、自分がいかに強い覚悟を持って思想を実現しようとしているかを演説していると、だんだん話がエスカレートしてくるという話があった。板垣退助も、演説中にいきなり刺されて「板垣死すとも自由は死せず」と言ったとか、超カッコいいけど真偽のほどは不明、なんて話もその中にあった。もうひとつの話がスゴイ。当時は「切りつけられて腸が腹から出てきたけれど、それを相手に投げて縛って演説を続けた」と言った人もいたらしいよ、と先生が言っていた。
 その後、高校や大学受験のために日本史を勉強していても、ついに「腸を投げた人」の話は出てこなかった。自由民権運動をしている政治家のうちで、誰がいつそう言ったのか真偽は定かではないけれど、とにかくそんな話が出てくるということ自体、人間の想像力って本当にファンタスティックで、すばらしいと思う。

 さて、僕の両手のケガも別にギターが持てないほどじゃないので、「痛みに耐えてギターを弾きました」という話にはならなさそうで残念である。逆に「痛みに耐えてコミケにCDを出しました」って言うとあんまりカッコよくないような…
 まあ、それよりもだ。ケガをして帰ったら連れ合いにはすごく心配されて、気をつけなきゃダメだよ!とけっこう本気で言われた。そして長女には「おとうしゃん、ばんそうこ貼ってあげるね」といたわってもらった。僕、けっこう大事にされてるんですよ?うははははは

2014年11月5日水曜日

冬コミ受かりました

 冬のコミックマーケットに無事受かりました。12月30日(火)で、東ユ05bとのことです。当日はよろしくお願いします。
 
 当落に関係なくCDの編曲と録音作業は続けようと思っていたけれど、やはり締め切りが確定すると気持ちも引き締まる。昨日でメドレーの録音も済んだので、作業の進行としてはいい感じだと思う。あと1曲足せればいいかな。

 今回はいろいろな面で周りの人を頼っている。活動休止前までは全部ひとりでやるものだ、それができないのはやる気が足りないのだと思い込んでいた。
 
 今回のミックス/マスタリングは全部ボブに頼んでいる。
 デモ音源については僕もやってみたけれど、これには物凄く時間がかかる。そして僕の中には「音圧はできる限り上げないと」「ひとつひとつの音がクリアに聞こえないと」という、サウンドエンジニアとしては当然持っているべき感覚が足りていないと感じた。そもそも昔のロックのCDが好きだし、ゴチャゴチャして渾然一体になっているサウンドを心地よく思うのだ。たとえばクリムゾンキングの宮殿を聞いても、リマスターされたCDは音の分離が良すぎてのめり込めない。それに、大きな音で聴きたければボリュームを上げればいいという感覚をいまだに持っている。
 ボブに頼んでやってもらった曲はどれも、とても音像が整理されており聴きやすい。もちろん以前よりも良いマイクを買ったり、ソフトウェアも進歩したというのはあるけれど、彼が努力を重ねて腕が上がったおかげで、以前のパラメキア帝国と比べて格段に音が良くなっていると思う。

 編曲についても今回は全て、てまりんとの共同作業で行っている。
 今まで四苦八苦して結局変なコード進行になったり、ピアノとかにありえないようなフレーズを入れていたのが、流れも音も自然で、しかも新鮮味のある編曲にできたように思う。何しろ彼女はキーボードをどんどん弾けるので、打ち込みに比べてずっと生っぽいし(弾いているんだから当たり前だが)、さらにポチポチ音符をひとつずつ打っていたのよりも圧倒的に早い。
 共同作業というのは「ダメだ、こんなんじゃだめだー。オレはロクなフレーズを思いつかない…」なんて、煮詰まってできたような物にもなりにくい。とにかく健康上とても良い。よくできたら、すぐ一緒に喜んでもらえるのも良い。
 
 そして、今回のCDの目玉、と勝手に思っているのはジャケットの絵を人に頼んだことだ。
 まあ今まで本当に、これだけは何とかしたいと思い続けていたことだ。だいたいCDを作るときにはボブの家にお邪魔して泊まり込みになり、二人とも心も体もボロボロになりながら、僕が録音をして、それをボブのパソコンに入れてミックスしてもらう。その間に、ひげもそらずに楽器を鉛筆に持ち換え、中学校の美術以来で僕が絵を描き、急いでカラーコピー…みたいな、いま考えても恐ろしくなるようなジャケット絵だった。
 今回は、てまりんの知り合いで絵を描く方がいて、彼女を通じて頼んでもらった。先日、初めてお会いして自分の思うことを伝えてきたんだけど、それはもう本当に貴重で素敵な経験だった。僕の持参した資料はすでに持っていたり、僕がすごく好きな絵本作家や画家の絵についての話が全部伝わったり、ぼんやりした物言いもしっかり理解してもらうことができたからだ。自分の思っていることを形にしてもらえるのは本当に幸せなことだと思ったし、何より絵が出来上がるのがめちゃくちゃ楽しみだ。
 
 さて、僕も頑張らなければいけない。残った曲の録音と手直しのために練習を。それと、残ったもう一曲のアレンジを良いものに仕上げなければ。
 また、CDのプレス業者もいろいろと見ながら選ぶ必要がある。これはバンドの発足以来決めていることなんだけど、そもそもこのバンドは人様の曲を演奏させてもらっているので、1円たりとも自分がもうけるわけにはいかない。価格もできるだけ抑えてなるべく多くの人に手に取ってもらえるように、そしてジャケットの絵やデザインをしっかり生かすせるように…と思うとその分選択肢は減ってくる。
 あとは発行する枚数も考えものだ。ファミコンなどの音を編曲や演奏してCDにしている人も減ってきているし、聴く人も減っているのではないか。以前はだいたいイベントに100枚持って行って、それがすぐ無くなってしまって、ホームページの通販ではもっと多くの枚数が出たけれど、今はそう簡単にはいかないと思う。このブログだって20人くらいしか見ていないと思うし、じゃあ20枚でいいのかって言ったら仕事を頼んでいる人に失礼だ。
 もう宣伝を頑張るしかない。…と思っているんだけど、これが生まれ持っての消極的な体質でちゃんとできる気がしない。もう、ぶどう酒のビンに広告を入れて江戸川にたくさん流すことにするか。