2014年12月29日月曜日

コミケ2日前。果たして人は来てくれるのか…

 星飛雄馬が、クリスマス会を開いて友達と姉ちゃんを呼んだら、誰一人来ない有名な話があるでしょう。
 会場になる部屋を壁のペンキ塗りから始めて、音楽かけてノリノリになって準備をして、折り紙で輪飾り作って、一人一人のプレゼントを用意して待っているの。自分は三角の帽子をかぶって、友達を今か今かと待ち続けていたら、みんな来ない。


悔しさにうち震えていたら、目の前になぜか外国人選手(オズマ)の幻が見えてこう言う。「みんなお前のことを野球ロボットだと思っている!クリスマスは人間の祭りだ。ロボットは祭りをやらん!なんなら同じく野球ロボットであるこの俺とやるか、クリスマスを!」とか。これ、実際にそう言われたわけじゃなくて、星飛雄馬はそう言われたことを勝手に想定してキレて泣きながら、「俺はロボットじゃない、人間だァァ!」って、自分でクリスマスのごちそうをひっくり返し、ツリーを窓ガラスに放り投げて荒れ狂うの。

 CDを一所懸命作って、明後日コミックマーケットに出す。でも、人が全然来てくれなくて、すごすごと大量のCDを持って帰ることを考えると、もはや自分で書いた前のブログを見返しても「なにが甘栗だ!」と思えてくる。
 いくら楽器が上手でも、人に聴いてもらう努力を全くしていなくて全然お客に来てもらえないバンドを山ほど見てきた。たとえばそういうバンドの人が、他に大した実力がなくても宣伝を頑張って人を呼んでいるバンドをやっかむようなことを言っていたら、おかしいと思うでしょう。じゃあ君はたくさんの人に聴いてもらいたいのに、黙っていても自分の楽器に人を引き寄せる力があると過信して、その努力をしなかったんだね?って、ことになる。だから、僕は宣伝もできないバンドは聴いてもらえなくて当たり前だと思っている。
 
 それもあって、録音が終わり、PVの制作が終わってからというもの、ずーっとバンドを「どうやったら聴いてもらえるか」ばかり考えてきた。これが非常に健康によろしくない。ホームページで、twitterで、youtubeで、ニコニコ動画で、またイベントに行ってフライヤーを配って、とやってきたけれど、これは楽器を練習したり新しい曲を編曲したり録音したりということより何倍も悩ましく、成果も上げにくい作業である。
 ともすれば、僕らのやっていることは仮面ライダードライブ放映の裏番組で、仮面ライダーアマゾンが再放送されているようなものだと思えてくる。現代のイケメンライダーに対抗して、こっちは常に上半身裸だ!とかやっても、すごくアクションに磨きをかけて、迫真の演技で「アァァァマァァァゾーーーン!!」とかやっているのに誰も観てくれない…てなもんだと思えてくる。
 沈んだ気持ちにばかりなっていてはいけない、そう思っても、連れ合いと娘が買い物に行くと言って外に出たら、勝手に手がyoutubeの検索画面に「星飛雄馬 クリスマス」と入れている。
 
 コミックマーケットは12月30日に行われるが、僕らの年代でこの年の瀬に、東京ビッグサイトに行って何万人の人ごみに紛れてこようという人は少ないだろう。
 しかし、soundcloudなどネット上での発表ではなくCDという形にこだわる以上、どこかで発表の機会を持たなくてはならない。また、来てくれた人にCDを手渡しできる点で、やはりコミックマーケットなどのイベントはそこまで積み重ねてきた努力が報われる場だと思う。だから、いくら不安でも、実際売れなくても、あと二日間頑張ろうという気でいる。

 無理かもしれないが、僕らは春麗みたいなバンドを目指したい。
 とうとう死神博士おかしくなったかと思わないでほしい。僕らの世代はスト2の爆発的ヒットの時期に思春期を過ごしている。ゲーセンといえばビームと戦闘機と筋肉みたいなイメージだったのに、そこに春麗が出てきたんだから、その存在感たるやサークルの姫どころではない。その後にもっとかわいいキャラクターや、有名な声優を起用していたり、もっとお色気路線だったりするキャラクターが出てきたとしても、それ以上になるわけがない。
 おかしな話がある。以前、大学生になってからできたゲーセン友達に「中学生のころ、ゲーセンですげえキレイな女の子がいてさ、まるで春麗かと思ったよ」というバカな話を僕がしたら、その友達は「俺も昔1回すげえカワイイ子を見たことあってさ、マジで春麗みたいだと思った」と言っていた。僕らの意識の中に、ゲームキャラクターというより、女の子に対する憧れの集約されたものがはっきりと刻み込まれているのだ。20年以上経った今も、春麗は新しいゲームに出て顔も服も変わらない。それを見て僕らの世代は心が温かくなるはずだ。
 
 大人気で有名なバンドになりたいのではない。演奏や編曲が上手いバンドと認識されたいわけでもない。
 こんなに長く休んで再始動して改めて、10年経っても忘れないでいてくれた人の大きさを感じている。
 思い返してみれば、僕らは下手で録音も音作りもまだまだだったかもしれないけれど、本当に一所懸命やっていて、ライブに来てくれた人はきっとその日楽しんで帰ってくれたはずだと思う。そういえば思い返してみたら、あの日好きな曲を演ってたなとか、2時間ワンマンでやってたなとか、思い出してくれる人はきっといる。
 そういう人たちのために活動をしていきたいし、今回の再始動が、また10年経ってからも覚えていてくれる人がいるくらいのものでないといけない。それくらい頑張りたい。だから目標は遠大だが、春麗くらい長く、誰かの心に残るバンドでいたいと勝手に思っている。

 今回のアルバム「Push Start My Heart」は、10年楽しんでもらえるCDになったと思う。もう、コミックマーケット当日売れなくても、そのほかのイベントに出し、ライブ会場に持って行って手に取ってもらおう。遠方で来られない人や都合のつかない人の手にも渡る方法を考えたほうがいいのは分かっているし。
 いや売れなくても、とか言っちゃいけないな、いくら仮面ライダーアマゾンでも、アマゾンアマゾン言って騒いでたら、もしかしたら間違って「こっちの方がいい」っていう子どももいるかもしれない。
 だから僕も勝手に頭の中で外国人選手を作り出して、「コミケは今の人のイベントだ。みんなお前のことを過去のバンドだと思っている。何なら俺とやるか、艦これメタルバンドを!」とか思わないことにするよ。


0 件のコメント:

コメントを投稿